ピアノのはなし
久しぶりに楽器が弾きたいな〜と思った。
うちには昔習っていたピアノがある。
随分ほったらかしてあるから、音狂ってんだろな〜。
ピアノは嫌いだった。
知らない曲を練習させられてもちっとも面白くない。
せめて、好きなモーツァルトの曲が弾きたかった。
バイエルだのブルグミュラーだのの練習のためのつまらない、知らない曲を弾くのは苦痛だった。
何のためにやる練習かすら説明されないのだ(とにかくやれ、と)。そんなもんに前向きに取り組める筈がない。
それから、お隣のおばちゃんに「よく練習してるね」と言われたのがショックだった。
「誉めてるニュアンスだけど、遠回しにうるさいと言われてるんじゃないか?」と思ったし、練習の下手くそなピアノ(騒音)を聞かれているのが恥ずかしくて。
ピアノは音を小さくするペダルを踏んでロックした。もう、普通の音量で弾く勇気は無い。練習は自粛した。
ピアノのお稽古をやめて何年か後、自分の好きな曲を自由に弾けるようになってからやっと、私はピアノが好きになった。
弾きたい曲を練習することは、ちっとも苦ではないと知った。
弾けるようになったときに喜びがあるからね。
それを、小さい頃の私が体験出来ていたら、たぶんもっと上達してただろう。
無論、好きな曲を弾くときも小音ペダルは踏んだまま。
ああ防音部屋があればいいのになー。
もしくは電子ピアノ。